MNPと新規契約、総額で有利なのはどちらかを条件で比較する

形の違うスマートフォン2台を並べて見比べる人のイラスト 端末と回線の総額

いま使っている番号を残したまま他社に乗り換えるか、番号にこだわらず新しく契約するか。月額だけを見ると同じに見えても、手数料・違約金・乗り換え特典の適用条件まで入れると、総額の順番が入れ替わることがあります。何を足し引きすれば比べられるのかを整理します。

分かれ目はMNPか新規かではなく、旧回線を解約するかどうか

MNPと新規契約を並べて「どちらが得か」と考えると、比較の軸がずれます。分かれ目は乗り換え方法そのものではなく、乗り換えたあとに旧回線をどうするかです。

旧回線を解約する場合(回線を1本に集約する)

いま使っている回線を解約するなら、その解約自体は「番号を引き継ぐ(MNP)」でも「番号を変えて新しい回線を契約する(新規契約)」でも同じように発生します。契約期間中の解約であれば、違約金はMNPでも新規契約でも同じ条件でかかります。つまり、違約金の有無は乗り換え方法(MNPか新規か)では決まらず、旧回線をいつ解約するかで決まります。

このケースでMNPと新規契約に主に差が出るのは次の2点です。

  • MNPの場合だけ、乗り換え元でMNP転出手数料が発生する可能性がある(新規契約では発生しない)
  • 「他社からの乗り換え」を条件にした乗り換え特典は、新規契約では対象外になりやすい(MNPは対象になりやすい)

このほか、契約事務手数料・SIM/eSIM発行手数料・店舗利用の条件は事業者によって扱いが異なるため、乗り換え先の料金表で個別に確認してください。

旧回線を解約せず、回線を追加する場合(2回線持ち)

旧回線を解約せずに新しい回線を追加するなら、旧回線の解約自体が発生しないため、違約金もMNP転出手数料も関係ありません(番号を引き継ぐ必要がないので、この場合の新しい回線は新規契約になります)。その代わり、2回線分の月額を払い続けることになります。

このケースで比較すべきなのは「違約金 vs 特典」ではなく、2回線目を持つ月額と、そのぶん得られる利便性(サブ回線・データ専用SIMなど)が見合うかです。

解約するなら3つの費用が効き、残すなら1つも関係しない

条件 見るところ どう変わるか
旧回線を解約するか、残すか 自分の使い方(1本に集約するか、2回線持つか) 解約する場合だけ、違約金・MNP転出手数料・乗り換え特典の適用条件が比較に関わる。残す場合はこの3つはいずれも関係ない
いまの契約に解約時の違約金があるか 契約書の自動更新条項・契約期間の欄 2022年7月1日以降に締結された契約は、解約時に請求できる違約金がサービスの月額料金を上限に制限されており、主要事業者の携帯電話サービス等では「1,100円とサービスの月額料金のどちらか低い方」が上限になる(総務省)。契約期間途中の解約か、契約更新後の解約かで発生の有無が変わる場合があるため、契約書で確認する
MNP手続きを違約金が発生しない期間のいつ行うか 乗り換え先でのMNP手続き完了までの所要日数 Web手続きは審査・SIMカード到着・回線切替えまでに日数がかかるため、違約金が発生しない期間の末日ぎりぎりに申し込むと、期間内に手続きが完了せず違約金が発生することがある(消費者庁)
MNP転出手数料 乗り換え元の事業者の手数料ページ ウェブサイトでの申込みは無料、電話や店舗での申込みは1,100円以下の手数料がかかる場合がある(総務省)。事業者・窓口によって扱いが異なるため、乗り換え元で確認する
乗り換え先の契約事務手数料・SIM/eSIM発行手数料 契約先の料金ページ 契約事務手数料もしくはSIMカード代金がかかる場合がある。金額は事業者・窓口によって異なるため、契約先の料金表で確認する。契約事務手数料は店舗を利用するとかかる場合が多い(総務省)。SIM/eSIMの発行手数料は、Web手続きなら無料になっている場合と、店頭や故障時の再発行では有料になる場合があり、手続き方法で扱いが分かれる(ahamo公式FAQ)
乗り換え特典(割引・キャッシュバック)の適用条件 特典ページの適用条件欄 「他社からの乗り換え」であることが条件になっている特典は、新規契約では対象外になる。特典の適用に有料オプションへの加入などが条件として付いていることもある(消費者庁)
セット割・家族割 いまの契約の割引適用状況 乗り換えのタイミングで、光回線とのセット割や家族割の対象から一時的に外れることがある。適用条件(名義・住所・プラン)は事業者ごとに違う

旧回線を解約する場合に気をつける条件

旧回線を解約するときにいちばん見落としやすいのは、違約金が発生しない期間と、MNP手続きが実際に完了するタイミングのずれです。消費者庁は次のように指摘しています。

「乗換え先の携帯電話会社のWeb上でMNPによる新規契約申込みを行う場合においては、審査を経て当該会社からSIMカード(及び端末)が届き、回線切替えが完了するまでの日数、MNPの手続が完了せず、違約金が発生する場合があり得るところとなっている」(消費者庁)

特にオンライン専業の事業者は次のように注意が要ります。

「仮想移動体通信事業者(MVNO)は、Web上での申込手続が中心であり、店頭での申込手続は限定的である場合も多いため、本問題が特に顕在化するおそれがある」(消費者庁)

自分の契約に定められた違約金が発生しない期間の末尾に合わせようとすると、この日数を見落として、結局1か月分の基本料金や違約金を余分に払うことになりかねません。この日数の見落としはMNP・新規契約のどちらで旧回線を解約する場合にも起こり得ますが、MNPは乗り換え先でのSIM到着・回線切替えの完了を待つ工程が入る分、日数を見誤りやすくなります。乗り換え先にMNP手続きの所要日数を確認したうえで、期間内に収まる日程で申し込むのが安全です。

工程の数は、選ぶ方式で変わります。乗り換え元と乗り換え先の両方がMNPワンストップに対応していてWebで申し込むなら、MNP予約番号を取る手続きが要りません。ただし乗り換え先のサイトだけで終わるわけではなく、総務省の案内では申し込みの途中で乗換え元のWebサイトへ自動で遷移し、解約にあたっての重要事項説明を受けます。「乗換え元の携帯会社のマイページへのログインが必要になります」(Q1.電話番号を変えずに乗り換えられるの?|総務省 携帯電話ポータルサイト)。長く使っている回線ほど、ここで止まります。

予約番号を取った時点では、旧回線はまだ解約されていません。総務省は「予約番号を発行しても、乗換え先での契約が完了するまでは、これまでの携帯会社との契約は解約されません」(同)としています。違約金がかかるかどうかを決めるのは、この記事の最初に置いた分かれ目——旧回線をいつ解約するか——のほうです。ワンストップが使える条件と、途中で止まったときに予約番号の方式へ戻る手順はMNP予約番号がいらない「ワンストップ」は、自分の乗り換えで使えるかにあります。

新規契約で気をつける条件(旧回線を解約する場合)

  • いまの電話番号を維持できない(別の番号になる)。番号を変えたくないならMNPが前提になる
  • 乗り換え特典の対象外になりやすい。特典ページで「他社からの乗り換え」が条件になっていないかを確認する
  • 事務手数料・SIM/eSIM発行手数料はMNPと同様にかかる(前掲の「解約するなら3つの費用が効き、残すなら1つも関係しない」の表を参照)

総額=端末代+月額×期間+手数料+違約金−特典

総額は、次の項目に分けて考えると、自分の条件に置き換えられます。

総額 = 端末代 +(月額 × 利用予定期間)+ 契約事務手数料 + SIM/eSIM発行手数料 + 違約金(発生する場合)+ MNP転出手数料(MNPで発生する場合)− 乗り換え特典・キャッシュバック

このうち違約金は、旧回線を解約するなら番号を引き継いでも引き継がなくても同じようにかかります(MNPと新規契約の差ではなく、旧回線を終了することに伴う費用です)。MNPと新規契約で差が出るのは、MNP転出手数料と乗り換え特典の適用条件です。旧回線を残して回線を追加する場合は、違約金もMNP転出手数料も発生しません。端末代・月額は、原則としてMNPでも新規契約でも同じ条件になります(キャンペーンで一時的に差が付くことはあります)。契約事務手数料・SIM/eSIM発行手数料は事業者・窓口によって扱いが異なるため、このほかの事業者別の費用とあわせて契約先の料金表で確認してください。上の表で挙げた自分の条件を当てはめれば、どちらが総額で有利かが見えてきます。

式のうち端末代と月額は、MNPと新規契約のどちらを選んでも同じ条件になります。ただし総額を出すには金額を入れるので、この2つを1つの数のままでは置けません。

端末代は、同じ機種でも買う先で条件が変わります。新品・メーカー整備済み・中古販売店で、保証期間とバッテリー状態、ネットワーク利用制限の扱いが違うためです。表示価格だけを横に並べられません(中古・整備済み端末と新品、総額で比べるなら何を分けて見るべきか)。

月額のほうは、乗り換え先のページに出ている額が割引後・条件付き・期間限定のどれなのかで、掛けたあとの合計が変わります。表示のどこを見れば自分に適用される条件まで読めるかはプラン料金表示の読み方にまとめました。

番号を変えても、旧回線を解約するなら違約金は同じようにかかる

  • 番号を変えてもかまわない場合でも、旧回線を解約するなら違約金は同じようにかかります。番号の引き継ぎで変わるのはMNP転出手数料と、乗り換え特典の対象条件です
  • 旧回線を解約せずに2回線持つ場合は、違約金・MNP転出手数料の比較自体が発生しません。2回線分の月額が見合うかだけを確認すれば足ります
  • 違約金が発生する期間中に急いで旧回線を解約する場合は、その分だけ費用が増えます。MNPでも新規契約でも同じようにかかるため、急ぎでなければ違約金が発生しない期間になってから解約する方が総額は下がります
  • 乗り換え特典の適用条件(有料オプション加入・家族契約など)を見落として契約すると、特典を上回る費用がかかることがある。適用条件は契約前に必ず確認する
  • ここに挙げたのは手数料・違約金の制度上の上限や有無の傾向です。契約先ごとの現在の金額・キャンペーン内容は変わるため、申し込み前に契約先の公式ページで最新の金額を確認してください

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出典

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