家のWi-Fiが遅い・急に切れるの切り分け——2.4GHzは重ならないチャネルが3つ、5GHzは60秒止まることがある

床に座って膝の上のノートパソコンを見ながら、傍らのWi-Fiルーターへ手を伸ばしている人物のイラスト つながらない・遅いの切り分け

家の中でWi-Fiにつながる機器が増えました。スマートフォンとパソコンのほかに、テレビ、スピーカー、掃除機、カメラまで同じルーターにぶら下がっています。ルーターの側も、2.4GHz帯・5GHz帯・6GHz帯を同時に出す機種が当たり前になりました。

そのぶん「遅い」の理由が増えます。検索すると原因が10個以上並んだ記事が出てきますが、上から順に試していくと、直る前に日が変わります。しかも家のWi-Fiは、置き場所を変えても直らないことがあります。

この記事は、家のWi-Fiが遅い・急に切れるけれど、どこから手を付けるか決まらない人に向けて、原因を並べるかわりに見る順番を決めます。見る場所は4つです。使う資料は総務省が公開している無線LANの技術基準と、Appleとバッファローの公式説明です。読者の側で用意するのは、有線で測った速度だけです。

要点

  • 最初に有線で測る。有線でも遅ければWi-Fiの話ではなく、回線かプランの側
  • 2.4GHz帯で他と重ならないチャネルは3つだけ。集合住宅で混むのは設定ではなく枠の数の問題
  • 5.3GHz帯と5.6GHz帯はDFSが必須で、レーダーを検知すると通信を止める。1分前後の切断はこれを疑う
  • 屋内で切断が続くなら5.2GHz帯へ寄せる。DFSの対象外だが、帯域幅と場所に条件が付く

1. 有線でも遅いなら、原因はWi-Fiではない

最初の一手はこれだけです。ルーターのLANポートとパソコンをLANケーブルでつなぎ、同じ測定サイトで測ります。

  • 有線でも遅い … 原因はWi-Fiより手前(回線・プロバイダ・契約)にあります。この記事の残りは効きません
  • 有線は速く、Wi-Fiだけ遅い … 宅内の無線側です。§2から進みます

順番を逆にすると失敗します。ルーターの置き場所を何度も変えたあとで、実は回線側が混んでいただけだった、という遠回りになるためです。

何Mbpsなら「速い」と見るかは用途で変わります。測り方と、用途ごとの目安、有線でも遅かったときの行き先は回線速度の測り方と結果の読み方にまとめてあるので、ここで数字が読めなければ先にそちらを見てください。スマートフォンの回線そのものが遅い場合は遅いのは速度制限?、光回線で夜だけ落ちる場合は光回線の「IPv6」「IPoE」表示の読み分け方が受け皿です。

2. 夜だけ遅い・1分だけ切れる・1台だけ遅いで、見る場所が変わる

有線が速かった前提で、症状を1つ選びます。

症状 次に見る場所 この記事の節
家中どこでも遅い。夜に落ちる つないでいる周波数帯と、近隣の混み具合 §3
1分前後まったく通じなくなり、また戻る 5.3GHz帯・5.6GHz帯のレーダー検知 §4
ベランダや庭に出ると切れる 屋外で使えない周波数帯 §4
特定の部屋だけ遅い ルーターとの間にある物の材質 §5
1台だけ遅い。ほかの機器は速い その機器の対応規格 §6

症状が2つ以上当てはまるなら、原因も2つ重なっていると考えて上から順に外します。1つ直して測り直す、を繰り返すほうが早く終わります。

3. 2.4GHzが混むのは、重ならないチャネルが3つしかないから

「2.4GHzは電子レンジと干渉する」はよく知られていますが、集合住宅で効いているのはたいてい別の理由です。枠の数です。

総務省は無線LANの技術基準を周波数帯ごとに公開しています。2.4GHz帯(2400〜2483.5MHz)のチャネル数は「3/1ch」とされ、この数字に注記が付いています。「1~13chのうち、他のチャネルと周波数が重複しないチャネルを選択する場合のチャネル数」(小電力データ通信システム(無線LAN等)|総務省 電波利用ポータル)。同じ表で5.6GHz帯は「12/6/3/1ch」、6GHz帯は「24/12/6/3/2ch」で、どちらも左端がいちばん狭い帯域幅で使ったときの数です。

=つまり、2.4GHz帯には1〜13chという番号が並んでいても、同時に取れる重ならないチャネルは3つしかありません。同じフロアに4台以上のルーターがあれば、どこかは必ず重なります。チャネルを手で変えても、隣の部屋のルーターが同じことをすれば元に戻ります。

同じ帯域を使う家電も多くあります。Appleは干渉源として「電源ケーブル、電子レンジ、蛍光灯、ワイヤレスのビデオカメラ、コードレス電話など」(ワイヤレス通信の干渉によるWi-FiやBluetoothの問題を解決する|Apple サポート)を挙げています。

対処も同じページに書かれています。「BluetoothデバイスもWi-Fiデバイスも2.4 GHz帯を使いますが、Wi-Fiデバイスには、代わりに5 GHz帯を使えるものが多くあります。お使いのWi-Fiルーターが両方の周波数帯に対応している場合は、5 GHz帯に接続するWi-Fiデバイスの数を増やすと効果を見込めることがあります。」(同)=混んだ帯域から出るのが、この節でやることです。

ルーターは2.4GHz帯と5GHz帯で別のSSIDを出していることが多く、名前の末尾が -A -G や -5G -2G で分かれています。いまどちらにつながっているかは、iPhoneなら 設定 > Wi-Fi の一番上、Androidなら 設定 > ネットワークとインターネット > インターネット の一番上に出るSSIDの名前で分かります。

SSIDが1つしか出てこない機種もあります。 2.4GHzと5GHzを1つの名前にまとめて自動で振り分ける機能(バンドステアリング)が入っている場合で、事業者から借りているホームゲートウェイに多い形です。この場合はつなぎ替えができないので、設定画面でSSIDを分ける項目を探すか、この節を飛ばして§4へ進みます。

ただし2.4GHz帯を全部やめる話ではありません。スマート家電やセンサーには2.4GHz帯しか持たない機器があります。そういう機器は2.4GHzに残します。混雑を減らしたいのは、動画やビデオ会議で帯域を使う側だけです。

4. 5GHzで1分ほど止まるなら、レーダー検知(DFS)を疑う

5GHz帯につなぎ替えたのに、こんどは時々まるごと切れる——このパターンには制度上の理由があります。

5GHz帯は無線LANの専用ではありません。総務省は「無線LAN等の機器が使用している周波数は、他の無線システム(例えば、5GHz帯では気象レーダー等)と周波数を共用しています」(総務省)と説明しています。共用しているため、レーダーを見つけたら無線LANの側が譲るしくみが義務づけられています。それがDFSです。

バッファローはこのしくみをこう書いています。「無線LAN 通信に用いられる5GHz 帯のうち、気象・航空レーダーの利用が優先されるチャンネルを利用した通信では、通信中にレーダー波を検知した場合、アクセスポイント側がレーダーの存在しないチャンネルに退避することが法律で義務付けられています(DFS)。」(バッファローの「DFS障害回避機能」に関する発明が「中部地方発明表彰」において「発明奨励賞」を受賞|バッファロー)=故障ではなく、決められた退避動作です。

止まる長さも同じ資料に出ています。「これまでは、レーダー波を検知すると、退避予定のチャンネルにレーダー波が存在しないかを通信を止めて60秒間監視する必要がありました。」(同)。同社はこの60秒を避ける機能を法人向けアクセスポイントに載せた、という趣旨の発表です。一般の機器では、この60秒が起きる前提で考えます。

どの帯域が対象かは、総務省の技術基準の表にDFSの欄があります。2.4GHz帯・5.2GHz帯・6GHz帯が「不要」、5.3GHz帯と5.6GHz帯が「必要」です(総務省)。屋外利用の案内にも「5.3GHz帯及び5.6GHz帯については、DFS機能の具備が必須(屋内・屋外問わず)」(無線LANの屋外利用/上空利用について|総務省 電波利用ポータル)と書かれています。

=つまり、5.2GHz帯はDFSの対象外です。チャネルを手で選べる機種なら、自動から5.2GHz帯(36・40・44・48ch)へ固定すると、レーダーを理由とする切断は起きません。自動しか選べない機種、帯域を指定できない機種もあります。

条件が2つ付きます。1つは帯域幅です。同じ表の注記に「160MHz幅チャネルは5.2GHz帯、5.3GHz帯の両帯域をまたがっての使用となります。」(同)とあり、160MHz幅で使うとDFSが必須の5.3GHz帯にかかります。5.2GHz帯のチャネル数は「4/2/1/1ch」で、20MHz幅なら4ch、80MHz幅なら1chです。80MHz幅までに抑えると対象外に収まりますが、160MHz幅でつながっていた機器は上限が下がります。

もう1つは枠の数です。5.6GHz帯は20MHz幅で12chあるのに対し、5.2GHz帯は4chです(同)。近隣にも同じ設定の機器が集まるので、混雑と引き換えに切断を止める選択になります。切断が困る使い方(ビデオ会議・オンライン対戦)なら固定する価値がありますが、そうでなければ自動のままで構いません。

場所の制限もあります。総務省の表では、運用場所が5.2GHz帯は「屋内及び自動車内」、5.3GHz帯は「屋内のみ」で、5.6GHz帯と2.4GHz帯は屋外でも使えます(同)。ベランダや庭で5GHzだけ切れるなら、これに当たっている可能性があります。この固定は家に据え置くルーターの話で、持ち歩くモバイルルーターには設定しません。

5. 特定の部屋だけ遅いなら、間にある物の材質で説明が付く

部屋を移動したときだけ遅くなるなら、電波の通り道にある物を見ます。Appleは材質を4段階で示しています。

干渉の可能性 材質
低い 木材、ガラス、その他の合成物質
中程度 水、煉瓦、大理石
高い コンクリート、土壁(漆喰)、防弾ガラス
非常に高い 金属

(Apple サポート)

階をまたぐケースは名指しで書かれています。「金属で補強されたコンクリートの床を挟んだ位置関係でWi-FiルーターとWi-Fiデバイスを使うと、Wi-Fiの性能が低下することがあります。」(同)

=木の扉1枚と鉄筋の床1枚は別物です。同じ「壁を1枚はさんでいる」でも結果が変わるので、遅い場所とルーターの間に何があるかを実際に見ます。ルーターを部屋の隅や金属ラックの中、水槽や冷蔵庫の裏へ置いていれば、そこを動かすのが先です。Appleの一次対処も「Wi-Fi対応のデバイスとWi-Fiルーターを近付ける」(同)から始まります。

置き場所を変えても届かない距離なら、買い替えるかどうかを選ぶ番です。分け方はルーターを買い替えるべきか判断する4つの確認点にあります。

6. 1台だけ遅いなら、その機器が使える帯域を見る

同じWi-Fiにつないだ他の機器が速いなら、原因はその1台の側です。見るのは、その機器が5GHz帯や6GHz帯に対応しているかの1点です。古いスマートフォンや家電には2.4GHz帯しか持たない機器があり、この場合は5GHzのSSIDが一覧に出てきません。出ていないのか、出ているのにつながっていないのかは、§3の設定画面の位置で分かります。

6GHz帯は2022年9月から使えるようになった新しい帯域で、総務省は「6GHz帯(5925MHz~6425MHz)」を無線LANの割り当てとして挙げています(総務省)。ルーターが対応していても、機器の側が対応していなければつながりません。手元の機器やルーターの仕様表で無線LANの欄をどう読むかはWi-Fiルーターの「最大11529Mbps」「12ストリーム」は何を指すかにまとめてあります。

7. ここまで外しても直らないとき

4つとも外れることはあります。1台だけ遅いという方も、家中が遅いという方も、ここからは同じ順番です。

  • その機器だけをつなぎ直す。SSIDをいったん削除してつなぎ直すと直ることがあります。削除するとパスワードも消えるので、先にルーター本体のラベルで確認しておきます。ルーター全体を落とすと家中の機器が切れるので、後回しで構いません
  • 同じ端末を別のWi-Fiにつなぐ。職場や実家で同じ症状が出なければ、原因は端末ではなく家の設置環境の側です
  • 宅内機器の故障を疑う。ONUやホームゲートウェイの不調は利用者側から切り分けられないので、ここまで来たら契約している事業者へ連絡します。そのとき、測った速度・時間帯・場所・周波数帯を添えると、同じ切り分けをやり直さずに済みます

有線で測ってから、帯域と場所を見る

  • 最初に有線で測る。ここでWi-Fiの問題かどうかが1回で分かれ、以降の手間が変わります
  • 2.4GHz帯で重ならないチャネルは3つ。集合住宅で混むのは枠の数が足りないためで、設定の巧拙ではありません
  • 1分前後の切断が繰り返すなら、5.3GHz帯・5.6GHz帯のDFSを疑う。屋内なら5.2GHz帯へ寄せると起きませんが、帯域幅を80MHz以下に抑える必要があります
  • 特定の部屋だけ遅いなら、間にある物を見ます。Appleの区分では金属が「非常に高い」、コンクリートが「高い」で、木やガラスとは段が2つ違います

周波数帯の制度は総務省の告示で変わることがあります。この記事の内容は2026年9月4日時点の公開資料の表示なので、機器の設定を変える前に、お使いのルーターの取扱説明書と各社の案内でご確認ください。

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出典

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