2026年4月24日、モバイルバッテリーの機内持込みルールが変わりました。国際民間航空機関(ICAO)が定める国際基準の緊急改訂を受けたもので、日本でも告示が改正されています。
詰まるのは数え方のほうです。上限は「160Wh」で示されるのに、製品のパッケージに大きく出ているのはmAhの数字です。「2個まで」と言われても、カメラから外した予備電池を別に持つときにどう数えるのかは、そこだけでは決まりません。
この記事は、4月24日以降にこれから飛行機に乗る人が、手荷物を詰める段階で見るためのものです。国土交通省の報道発表と別紙をもとに、手元の1台が何Whかを3ステップで出し、そのうえで予備の電池を何個持てるかを表にします。読み終わると、自分のバッテリーがどの区分に入るかが出ます。
要点
- 機内に持ち込めるモバイルバッテリーは1名2個まで、1個あたり160Wh以下
- 預け入れ手荷物には入れられません
- 機内では、電源からバッテリーへの充電も、バッテリーから機器への充電もしません
- カメラなどの予備の電池を別に持つときは、モバイルバッテリー側の容量によって持てる本数が変わります
- これは国が定める基準で、航空会社はこれより厳しい条件を設けられます
2026年4月24日に何が変わったか
国土交通省航空局は令和8年(2026年)4月14日付の報道発表で、変更の理由をこう説明しています。
“国内外において、機内でのモバイルバッテリーの発煙・発火等の事例が発生しております。今般、モバイルバッテリーに対するリスクの低減を目的として、国際基準の緊急改訂があり、機内持込み個数の制限や充電の制限など、モバイルバッテリーの取扱いが変更となります。”(国土交通省)
=きっかけは機内での発煙・発火です。制限が付いたのは製品の性能ではなく、持ち込む本数と機内での使い方のほうでした。
ICAO理事会が緊急改訂案を3月27日(現地時間)に承認し、即日適用しています。日本はこれに準拠するため、告示を一部改正しました。資料が「従来のルールからの追加分」として挙げているのは、次の3点です。
“・ 機内持込みのモバイルバッテリーは2個(160Wh以下に限る)まで
・ 機内においてモバイルバッテリーへの充電をしないこと
・ 機内においてモバイルバッテリーから他の電子機器への充電をしないこと”(国土交通省)
“適用開始:令和8年4月24日(金)”(国土交通省)
改正の前から続いているものもあります。資料は、それまでの状態をこう書いています。
“預け入れ荷物にモバイルバッテリーを入れることを禁止しているほか、モバイルバッテリーの個数・容量を制限しています。”(国土交通省)
=預け入れの禁止も、個数と容量の制限も、以前からありました。4月24日に加わったのは、個数の上限が2個になったことと、機内での充電が両方向とも禁じられたことです。旅客向けの別紙では、いまの条件がこう示されています。
“預入(受託)手荷物に入れることは禁止されています。必ず機内に持ち込んでください。”(国土交通省)
“ワット時定格量が160Whを超えるものは持ち込み禁止されています。”(国土交通省)
=160Whを超えると、機内にも預け入れにも置き場所がありません。空港へ着いてから調べるのでは遅いので、先に手元の値を出します。
手元の1台が何Whかを出す3ステップ
Whが製品に書かれていないことがあります。その場合はmAhとVから計算します。
STEP 1 本体かパッケージの「定格容量」と「定格電圧」を見る
使う数字は2つだけです。定格容量はmAh(またはAh)、定格電圧はVで書かれています。どちらも製品ごとに違います。 他の製品の数値を当てはめないでください。表示が見つからないときの進め方は、最後の節にまとめます。
STEP 2 式に入れる
計算式は国土交通省が資料に載せています。
“ワット時定格量 (Wh)=定格容量 (Ah)×定格電圧 (V)”
“ワット時定格量 (Wh)=定格容量 (mAh)×定格電圧 (V)÷1,000″(国土交通省)
同じ資料には、製品ラベルの例も載っています。
“定格容量:27,000mAh”
“定格電圧:3.7V (99.9Wh)”(国土交通省)
27,000×3.7÷1,000=99.9という計算です。この例は100Whのすぐ手前にあります。次の区分で、この100Whという線が効いてきます。
STEP 3 3つの区分のどこに入るか置く
| 換算した値 | 機内持込み |
|---|---|
| 160Wh超 | 持ち込めません(預け入れもできません) |
| 100Wh超〜160Wh以下 | 持ち込めます。予備の電池を別に持つなら次の節へ |
| 100Wh以下 | 持ち込めます。見るのは2個までの枠だけです |
160Wh超に着地した人は、この記事の最後の節へ進んでください。買い替えを考えるなら、容量と出力の読み方はモバイルバッテリーの容量・出力・PSE表示の見方にまとめています。
予備の電池は、モバイルバッテリー側の容量で持てる本数が変わる
国土交通省の資料は、「モバイルバッテリー」と「予備の電池」を別のものとして扱っています。
“【モバイルバッテリー】
・ リチウムイオン電池を内蔵するもの
・ 他の電子機器を充電する目的のもの”
“【予備の電池(リチウムイオン電池)】
・ デジタルカメラ等の電子機器の予備バッテリー
・ 電子機器から取り外したもの”(国土交通省)
=カメラから外した電池は、モバイルバッテリーではなく予備の電池として数えます。どちらの定義も、予備として持つ電池と機器から取り外した電池を挙げていて、スマートフォンやノートPCに入ったままの電池には触れていません。
同じ資料の別紙は、機内へ持ち込むモバイルバッテリー2個の内訳ごとに、予備の電池を何個持てるかを3つのケースで示しています。モバイルバッテリー自体は、どのケースでも2個までです。
| モバイルバッテリー2個の内訳 | 別に持てる予備の電池(100Wh以下) | 別に持てる予備の電池(100Wh超〜160Wh以下) |
|---|---|---|
| ① 2個とも100Wh以下 | 個数制限なし | 2個まで |
| ② 2個とも100Wh超〜160Wh以下 | 個数制限なし | 持込み不可 |
| ③ 100Wh以下1個+100Wh超〜160Wh以下1個 | 個数制限なし | 1個まで |
100Wh以下の予備の電池は、3つのケースとも個数の制限がありません。減るのは100Wh超の側で、モバイルバッテリーがその帯に入るほど、同じ帯の予備電池を持てる本数は少なくなります。
カメラやドローンの予備バッテリーを持って行く人には、ここが効きます。ただ、モバイルバッテリー側を100Wh以下に替えれば①の行に移れるので、100Wh超の予備電池を2個まで持てます。大容量のモバイルバッテリーと大容量の予備電池は、両立しにくい関係にあります。
なお、この表は資料がモバイルバッテリーを2個持つ場合について示したものです。1個しか持たないときの予備の電池の扱いは、この図には出ていません。
機内では手元に置き、充電もしない
別紙は、機内での扱いも挙げています。まず置き場所です。
“座席上の収納棚に収納せず、座席ポケットなどお手元に保管してください。”(国土交通省)
=出発前にかばんの底へ入れてしまうと、この形になりません。搭乗して座ったら、座席ポケットへ移します。
次に、ショートを防ぐ扱いです。
“端子に絶縁テープを貼る、ケースや収納袋に入れる、複数のバッテリーや金属品と同じ袋に入れないなど、ショートを防ぐこと。”(国土交通省)
=鍵や小銭と同じポーチにまとめている人は、そこだけ分けます。資料は「個々に保護」と書いていて、まとめて1つの袋に入れる形は想定されていません。
機内での充電は、向きが2つとも止まります。
“機内電源などからモバイルバッテリーへの充電は禁止されています。”
“モバイルバッテリーから他の電子機器への充電をしないでください。電子機器の充電は、機内備え付けの電源からお願いします。”(国土交通省)
=機内でスマートフォンを充電したいときは、座席の電源を使います。モバイルバッテリーは、機内では使わないものとして持ち込みます。
なお資料は、預け入れ・容量・端子の保護・個数・バッテリーへの充電について、違反した場合に航空法の罰則が科される可能性があると注記しています。
国の基準は下限で、航空会社はさらに厳しくできる
資料自身が注記しています。
“※ 航空会社によって、より厳しいルールを設けている場合がありますので、各航空会社の指示に従ってください。”(国土交通省)
JALとANAは、国内線のお手荷物のページで国の基準と同じ内容を案内しています(JAL・ANA)。預け入れ不可、160Wh以下、1名2個まで、機内での充電の扱いは、どちらも同じです。ここまでは、この記事のWh区分がそのまま使えます。
ここから先は、会社ごとに差が出ます。JALは同じページに、この先の見通しを書いています。
“※国際航空運送協会(IATA)の規定変更により、2027年1月以降は100Whに制限される可能性があります。”(JAL)
=いま160Whで通っている1台が、来年も通るとは限りません。上限は1名あたりで示されているので、同行者がいるときの数え方も、利用する会社の案内で見ます。国際線や乗り継ぎがあるときは、経由する国と航空会社で条件が変わることもあるので、各社の危険物・お手荷物のページを搭乗のたびに見てください。
Whが出せない・160Whを超えていたときにやること
定格電圧の表示が見つからないとき。 本体の側面と底面、パッケージの仕様欄、メーカーの製品ページの順に見ます。それでも出てこなければ、メーカーの問い合わせ窓口で聞きます。推測した数値で計算しないでください。 定格電圧は製品ごとに違うので、他の製品の値を当てはめると換算した結果もずれます。
160Whを超えていたとき。 機内持込みも預け入れもできません。宅配便へ回せば済むとも限らず、資料はこう注記しています。
“※ 持込みできなかったモバイルバッテリーなどは、宅配便などによる貨物としても航空輸送できない場合があります。宅配便などの運送事業者へ確実に申告のうえ、運送事業者の指示に従ってください。”(国土交通省)
=空港で持ち込めなかったものを、その場から航空便の宅配へ出せるとは限りません。当日に決められることではないので、旅程が決まった時点でWhを出しておき、超えていれば持って行かない前提で荷造りします。送るのであれば、運送事業者へ中身を申告して指示を受けてください。
旅行用に買い直すとき。 見るのはmAhの大きさではなく、定格容量と定格電圧の表示が製品情報にあるかどうかです。表示があればWhを自分で計算でき、区分が出ます。容量と出力そのものの読み方は、モバイルバッテリーの容量・出力・PSE表示の見方にまとめています。PSEマークもそちらで扱っています。あれは国内で販売できるかどうかに関わる表示で、機内に持ち込めるかどうかとは別の制度です。
まとめ:数えるのは個数ではなく、Whの区分
- 手元の1台は、定格容量と定格電圧からWhを出す。式は mAh×V÷1,000
- 160Wh超は持ち込みも預け入れもできない。荷造りより前に確かめる
- 予備の電池を別に持つなら、モバイルバッテリー側が100Whを超えているかで持てる本数が変わる
- 機内では収納棚に入れず手元に置き、端子を分け、充電はどちらの向きにもしない
- JALは2027年1月以降に100Whへ制限される可能性があると案内している。搭乗のたびに利用する会社の案内を見る

