光回線の申込ページには「最大概ね1Gbps」「最大概ね10Gbps」と書いてあります。この数字は規格上の上限で、契約したら出る速度ではありません(「最大◯Gbps」がベストエフォート型であることの意味)。
では自分の家では何Mbps出ているのか。それは公式ページのどこにも書いていません。測るしかないのですが、測定サイトを開いて出た数字が良いのか悪いのか、次に何をすればいいのかが分からない、という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、測定サイトが何をどう測っているか、出てくる3つの数字の意味、動画視聴に足りる目安、そして同じ回線でも測る条件で数字が変わる理由を、公式ページの記述から整理します。当サイトが実測した数値は載せません。読者が自分で測った数字を当てはめる形にします。
要点
測る前に3つだけ押さえます。
- 測定サイトが出すのは推定値で、その回線の上限を測ろうとしている。1回の数字を結論にしない
- 見る数字は「下り(ダウンロード)」「上り(アップロード)」「レイテンシ」の3つ。動画視聴なら下りだけで足りる
- 有線か無線か、何時に測るかで数字は変わる。条件を揃えて3回測り、幅で見る
1. FAST.comが出しているのは「推定値」
Netflixが提供する測定サイトFAST.comは、自分が何をしているかをFAQで説明しています。
「FAST.comはお客様の現在のインターネットスピードを推定します。世界中にサーバーを持つ主要インターネットサービスであれば、このスピードの計測が可能です。」(FAST.com)
測り方も書かれています。「FAST.comは、Netflixサーバーへのアップロードおよびダウンロードを複数回実施することによりインターネットスピードを計測し、お客様のインターネット回線の最高速度を測定します。」(FAST.com)
=つまり、出てくる数字は「今この瞬間、この端末からNetflixのサーバーとの間で出せた上限」です。混雑していれば下がり、端末が古ければ下がり、同じ回線でも隣の部屋で測れば変わります。1回の数字で回線の良し悪しを決めないほうがよい理由はここにあります。
2. 下り・上り・レイテンシは、それぞれ困りごとが違う
FAST.comは既定で下り(ダウンロード)だけを大きく出します。理由は「インターネット上でコンテンツをご覧になる際に重要なのは、ダウンロードのスピードです。」(FAST.com)で、動画を見る・ページを開く・ファイルを落とす、はすべて下りです。
残り2つは「[詳細を表示]ボタンをクリックすると、アップロードスピードとレイテンシ (ping) が表示されます。」(FAST.com)で出ます。=既定の画面に出る1つの数字だけを見て「上りは分からない」と終わらせなくて済みます。
- 上り(アップロード):ビデオ会議で自分の映像を送る、写真や動画をクラウドへ上げる、配信する。下りが速くても上りが遅いと、会議の自分の映像だけが止まります
- レイテンシ(ping):送ってから返ってくるまでの時間。ミリ秒で出ます。オンラインゲームやビデオ会議の「間」に効き、下りが速くてもここが長いと反応が遅れます
レイテンシには2種類の値が出ます。「FAST.comはインターネット接続時のレイテンシをロード済みとアンロード済みトラフィックの両方で計測します。2つの測定値の差をバッファブロートともいいます。」(FAST.com)。アンロード済みは何も通っていないときの往復時間、ロード済みは下り・上りで回線を埋めた状態での往復時間です。差が大きいなら、家族の同時利用の間に自分の会議が遅れる、という現象がその回線で起きます。
3. 動画視聴に足りる下りの目安は、配信側が公開している
「何Mbpsあれば足りるか」は用途で決まり、配信事業者が自分のサービスの目安を出しています。
Netflixは画質ごとの推奨速度を次の表で示しています。
| 画質 | 解像度 | 推奨速度 |
|---|---|---|
| 高画質 (HD) | 720p | 3 Mbps以上 |
| フルHD (FHD) | 1080p | 5 Mbps以上 |
| 超高画質 (UHD) | 4K | 15 Mbps以上 |
(Netflix推奨インターネット接続速度|Netflixヘルプセンター。2026年9月3日時点の表示)
YouTubeも同じ形で公開しています。「下の表は、各動画形式の再生で推奨されるおおよその速度を示しています。」として、表の見出しは「推奨される持続的な速度」、4K UHDが20 Mbps、HD 1080pが5 Mbps、HD 720pが2.5 Mbps、SD 480pが1.1 Mbps、SD 360pが0.7 Mbpsです(YouTube のシステム要件|YouTube ヘルプ。2026年9月3日時点の表示)。
=つまり、条件を変えて測った3回(後述の手順)がどれもYouTubeの推奨値20Mbpsを安定して上回っていれば、1台での4K視聴は推奨値を満たしています。「持続的な」とあるとおり、瞬間の最高値ではなく低いほうの数字で見ます。推奨値を大きく超えた回線同士の差が効くのは、同時に使う台数が増えたときと、大きなファイルを落とすときだと考えられます。
4. 同じ回線でも、測る条件で数字が変わる
測るたびに数字が違うのは、測定サイトではなく測る側の条件が動いているからです。変わる理由が3つあります。
有線か無線か
YouTubeは視聴環境の推奨として「ワイヤレス ネットワーク接続ではなく有線のインターネット接続をおすすめします。」(YouTube ヘルプ)と書いています。Wi-Fiで測った数字は「回線の速度」ではなく「回線とWi-Fiの遅いほうの速度」です。回線そのものを知りたいなら、ルーターにLANケーブルで繋いだPCで測ります。
時間帯
NTT東日本は、速度が下がる要因として「お客さまのご利用環境(端末機器の仕様など)や回線の混雑状況などにより大幅に低下することがあります。」(フレッツ 光クロス|NTT東日本)と注記しています。混雑は利用者側で動かせない要因で、夜に遅いのはこれです。
端末
同じ注記にある「端末機器の仕様」は、PCやスマートフォンの側の話です。古い端末のWi-Fiや有線ポートの規格が上限になっていると、回線を変えても数字は上がりません。仕様表の読み方はWi-Fiルーターの「最大11529Mbps」「12ストリーム」は何を指すかにあります。
有線・Wi-Fi・夜の3回に分けて測る
条件を揃えると、数字の差が「回線の差」なのか「条件の差」なのかが分かります。
- STEP 1:ルーターにLANケーブルで繋いだPCで、昼間に1回測ります。これが回線に近い数字です
- STEP 2:同じPCをWi-Fiに切り替えて、同じ場所で1回測ります。STEP 1との差がWi-Fiで失っている分です
- STEP 3:夜の混む時間に、STEP 1と同じ有線で1回測ります。昼との差が混雑で失っている分です
- STEP 4:3つの数字を、§3の用途別の目安と並べます。一番低い数字でも目安を超えていれば、その用途では足りています
- STEP 5:「詳細を表示」でレイテンシの2つの値を見ます。差が大きいなら、家族の同時利用で会議が遅れる回線です(§2)
目安に届かないときに、どこを疑うか
FAST.comは「料金に見合ったスピードが出ていない場合、どうしたらいいですか?」に「ISPに直接お問い合せください。」(FAST.com)と答えています。ただし問い合わせの前に、宅内で片づく原因を外しておくと話が早くなります。
- 有線は速いのにWi-Fiだけ遅い:回線ではなくルーターか置き場所です。買い替えるべきかの分かれ目はルーターを買い替えるべきか判断する4つの確認点に整理してあります
- 昼は速いのに夜だけ遅い:混雑です。接続方式(IPoE/PPPoE)で混み方が変わることがあり、自分の回線がどちらかは光回線の「IPv6」「IPoE」表示は自分の回線に関係ある?で読み分けます
- 有線でも昼でも遅い:ここまで外して残ったものが、事業者へ伝える材料になります。測った日時・有線か無線か・端末名・3回の数字を添えます
1回の数字ではなく、条件を変えた3回の幅で読む
- 測定サイトが出すのは「その瞬間の推定の上限」。測るたびに変わるのが普通
- 動画視聴なら下りだけ見ればよく、4Kでも20Mbps(YouTube)・15Mbps(Netflix)が目安。それ以上の差が効く場面としては、同時に使う台数が増えたときと大きなファイルを落とすときが考えられる
- 有線・Wi-Fi・夜の3条件で測ると、Wi-Fiで失う分と混雑で失う分が分けて見える
- レイテンシの「ロード済み」と「アンロード済み」の差が、家族の同時利用で会議が遅れるかどうかを示す
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