ルーターを買い替えるべきか判断する4つの確認点

形の違う新旧2台のルーターを並べて見比べる人のイラスト つながらない・遅いの切り分け

Wi-Fiの規格は数年ごとに増えています。Wi-Fi Allianceの説明では、Wi-Fi 5が2014年、Wi-Fi 6が2018年、Wi-Fi 7が2024年に登場し、6GHz帯へ広げたWi-Fi 6EはWi-Fi 6の認証の一部として位置づけられています(Wi-Fi Alliance)。

一方で、メーカーのページは新しい規格の速度を出し、回線事業者のページは対応機種の一覧を出します。どちらも「自分の家のルーターを替えるべきか」までは書いていません。

そこで、買い替えで変わるものと変わらないものを、規格世代・同時接続台数・置き場所・回線側の対応の4点に分けます。扱うのは速度と接続の観点までで、使用年数やメーカーのサポート終了は含みません。実機の測定も前提にしていません。

その前に:有線で測って、Wi-Fiの話かどうかを分ける

4点に入る前に、1つだけ順番の決まった手順があります。ルーターのLANポートとパソコンをLANケーブルでつないで測ります。有線でも遅ければ、ルーターの買い替えの話ではありません。手順と、有線・無線それぞれが遅いときの読み分けは家のWi-Fiが遅い・急に切れるの切り分けにあります。

先に置き場所を動かしてしまうと、実は回線側が混んでいただけだった、という遠回りになります。

買い替えが解になる条件と、買い替えでは動かない条件がある

先に結論を置きます。買い替えが解になるのは次の3つです。

  • 端末のほうが新しい規格に対応している。バッファローは「スマホのWi-Fi性能を引き出すためには、Wi-Fiルーターもスマホと同じWi-Fi規格に対応している必要があります。」と説明しています(バッファロー)
  • 同時に繋ぐ端末数が、いまの機種の想定を超えている
  • 契約している回線の接続方式に未対応。NTT東日本は、動作確認済一覧に載っていないルーターを使う人に向けて「未対応の場合は、新たにIPv6ブリッジ機能に対応しているルーターをご準備いただく必要があります。」と案内しています(IPv6動作確認済ルーター一覧|NTT東日本)

反対に、買い替えが向かないのが次の1つです。

  • 遅さの原因が契約プランの上限・混雑・障害にある。ここはルーターの外側なので、機種を替えても変わりません。買い替えの対象外です

残る置き場所は、その前に来ます。動かすだけなら費用がかからないので、買う前に試す側です。

以下の4点は、どれもいま使っている機種の型番から引けます。本体の底面や側面のラベルに型番が書いてあるので、それをメーカーの製品ページで引き、対応するWi-Fi世代・推奨接続台数・IPv6ブリッジ機能の対応を見ます。この1手で1〜4がまとめて片付きます。

4点のうち、費用をかけずに試せるのは置き場所だけ

条件 見るところ どう変わるか
端末のWi-Fi規格とルーターの規格が合っているか 端末(スマホ・PC)が対応するWi-Fi世代(Wi-Fi 6/6E/7など)と、いまのルーターが対応する世代 ルーターが古い規格までしか対応していないと、新しい規格の端末を使っていても、その端末の性能は出ません
同時に繋ぐ端末の数 家族の人数・スマホ・PC・スマート家電などを合わせた同時接続台数と、ルーターの推奨接続台数の目安 推奨接続台数は「快適に通信できると想定される台数」で、上限として示されたものではありません。NEC Atermは通信できない場合の要因として、間取り・障害物の有無・通信量を挙げています
置き場所 ルーターと端末の距離、間にある壁・家具・家電などの障害物 規格が新しくても、置き場所が悪いと電波が届きにくくなります。動かして直るなら買い替えは要りません
回線側の接続方式への対応 ①ルーターがIPv6ブリッジ機能(IPv6パケットを透過する機能)に対応しているか、②契約しているプロバイダのIPv4 over IPv6サービスの対応機種一覧にその機種が載っているか、の2段階(利用者が市販ルーターを自分で接続する構成の場合) ①はNTT東日本が同社サービス向けに示している条件で、あらゆるIPoE構成の要件を定めたものではありません。②の一覧に載っていなければ、契約しているサービスでの動作は保証されません。買い替えるかどうかは、契約している事業者の接続構成と対応機種一覧を正として決めてください(レンタルルーター・ホームゲートウェイ等の構成は見方がさらに異なります)

1. 新しい規格が効くのは、親機と子機の両方が対応しているときだけ

Wi-Fi Allianceは、Wi-Fiの各世代を次のように説明しています。

「Wi-Fi 7 was introduced in 2024 and enhances Wi-Fi performance in the 2.4 GHz, 5 GHz, and 6 GHz bands」(Wi-Fi Alliance)

「Wi-Fi 6 was introduced in 2018 provides enhanced capacity, efficiency, coverage, and performance required by users today in the most demanding Wi-Fi environments」(Wi-Fi Alliance)

「Wi-Fi 6E certification as part of Wi-Fi CERTIFIED 6 offers the features and capabilities of Wi-Fi 6, extended to the 6 GHz band.」(Wi-Fi Alliance)

「Wi-Fi 5 was introduced in 2014 and offers higher capacity, improved power management, and lower latency」(Wi-Fi Alliance)

=つまり、いま使っているルーターが2014年のWi-Fi 5世代なら、手元の端末がWi-Fi 6Eや7に対応していても6GHz帯は使えません。新しい規格が効くのは親機と子機の双方が対応しているときだけで、NEC Atermの製品ページも「Wi-Fi 7(11be)で通信するには、親機・子機ともにWi-Fi 7(11be)に対応している必要があります。」と注記しています(NEC Aterm 19000T12BE)。

端末側が新しい規格に対応していても、ルーターが古い規格までしか対応していなければ、通信は古い規格の性能に制限されます。逆に、端末が対応していない規格にルーターだけ対応していても、その端末では何も変わりません。手元のスマホ・PCの仕様表でWi-Fi世代を見て、ラベルの型番から引いたルーターの世代と見比べます。仕様表に並ぶ数値の読み方はWi-Fiルーターの「最大11529Mbps」「12ストリーム」は何を指すかにまとめてあります。

2. 接続台数は上限ではなく「快適に通信できると想定される台数」

家族が増えた、スマート家電を増やしたなど、同時に繋ぐ端末数が増えているなら、ラベルの型番から引いた推奨接続台数と突き合わせます。

NEC Atermの製品ページは、この台数を「端末を同時に無線接続した場合に、快適に通信できると想定される台数です。」と定義しています。別の注記では「ご利用環境により異なりますので、ご利用の際の目安としてご参考ください。また、利用人数は、一人当たり3台程度の端末を接続した場合を想定しております。ただし、部屋の間取り、障害物の有無、通信量などによって、通信できない場合もあります。6GHz/5GHz/2.4GHzに分散して接続することを推奨します。」とも書いています(NEC Aterm 19000T12BE)。

=つまり、この数字は上限ではなく目安です。「一人当たり3台程度」が係るのは併記された利用人数のほうで、台数の側は上の定義が正になります。通信できなくなる要因として挙がっているのも、台数の超過ではなく間取り・障害物・通信量です。何台を超えたら買い替え、という線は公式には示されていません。 台数を理由に選び直すなら、契約時より端末が明らかに増えた方は台数に余裕のある機種を、そうでない方は先に6GHz/5GHz/2.4GHzへ分散して繋ぐ手を試します。

3. 置き場所が原因なら、まず動かす

規格や台数に問題がなくても、置き場所が原因で速度が落ちていることがあります。ルーターと端末の間に何があるかを見て、間の壁や金属製の家具を避ける位置へ動かし、同じ場所・同じ測定サイトで測り直します。動かして直るなら、買い替えは要りません。

動かしても電波が届かない距離・間取りのときは、上位機種1台に替えるより中継機やメッシュ構成のほうが効くことがあります。NEC Atermの製品ページも、メッシュ中継機能について「電波が届きにくかった場所や、壁などがあって電波が弱まっていた場所までWi-Fiエリアを拡大でき、家中を安定した電波でカバーすることが可能です。」と説明しています(NEC Aterm 19000T12BE)。=つまり置き場所の問題は、必ずしも「動かすか、あきらめるか」の二択ではありません。

帯域ごとの混み方や、特定の部屋だけ遅いときの見方は家のWi-Fiが遅い・急に切れるの切り分けで手順にしています。

4. 「IPv6ブリッジ対応」の表示だけでは、契約中のサービスで動く保証にならない

契約している光回線などが、IPv6 IPoEのような新しい接続方式を使っている場合、ルーター側の対応は1つではなく、次の2段階に分かれます。前提になるIPoEとPPPoEの違いは光回線の「IPv6」「IPoE」表示は自分の回線に関係ある?にあります。

この2段階は、利用者が市販ルーターを自分で接続する構成が前提です。プロバイダのレンタルルーターやホームゲートウェイを使う方は見方が異なるため、契約している事業者の接続構成・対応機種一覧に従ってください。

①ルーターがIPv6ブリッジ機能に対応しているか。 NTT東日本は、フレッツ光クロス・フレッツ 光ネクストの動作確認済一覧に載っていないルーターを使う人に向けて、こう案内しています。

「ご利用のルーターのIPv6ブリッジ機能(IPv6プロトコルを透過する機能または同等の機能)対応状況をご確認ください。未対応の場合は、新たにIPv6ブリッジ機能に対応しているルーターをご準備いただく必要があります。」(IPv6動作確認済ルーター一覧|NTT東日本)

=つまり、ここで未対応と分かったら買い替えが解になる側です。ただしこの表示が保証しているのは「IPv6のパケットが通る」ところまでなので、②を見ないと機種は決められません。

②契約中のプロバイダが提供するIPv4 over IPv6サービスの、対応機種一覧にその機種が載っているか。 IPv6ブリッジ機能はIPv6パケットを透過させる機能であり、プロバイダごとに異なるIPv4 over IPv6サービス(名称・実装は各社で異なります)への対応を示すものではありません。NTT東日本も「IPv6通信の動作確認は各メーカにて行っております。機種ごとの設定方法などは、各メーカにお問合せください。」と案内しています(NTT東日本)。実際にそのサービスで使えるかどうかは、メーカーまたは契約しているプロバイダが公開する対応機種一覧で見ます。

①の表示だけを見て、②の一覧を見ないまま買い替えると、実際には動作しないことがあります。

4点を見ても決まらなかったときに、どこへ行くか

4点のうち1つでも当たれば、替える理由があります。1つも当たらないなら、いま替えても体感は変わりません。

それでも決まらないときは、当たらなかった理由のほうから行き先が決まります。

最後に、買う側で見る数字にも上限があります。カタログの速度・接続台数は規格上の理論値や想定される目安で、その数値が出ることを保証するものではありません。NEC Atermの製品ページも「表示の数値は本製品と同等の構成を持った機器と通信を行ったときの理論上の最大値であり、実際のデータ転送速度ではありません。」と注記しています(NEC Aterm 19000T12BE)。数字の大きさで選ぶより、4点のどれに当たったかで選ぶほうが外しません。

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出典

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