USB PDとPPS、充電器のW数とA数の読み方

充電器を手に取ってW数の表記を見る人のイラスト 充電と電源の安全

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充電器の売り場やAmazonの商品ページには、「PD対応」「PPS対応」「65W」「20V/3.25A」といった表記が並んでいます。どの数字を見れば、自分のスマホやノートパソコンを急速充電できる充電器かどうかが分かるのか、USB PDとPPSという2つの規格の仕組みと、パッケージの数字の読み方を整理します。

要点

USB PDは充電器と機器の間で電力をやり取りする規格そのもので、PPSとAVSは、その中にある別々の可変電圧モードです。パッケージに書かれたW数は「その充電器が出せる電力の上限」であって、接続した機器がその数値どおりに充電される保証ではありません。実際に流れる電力は、充電器と機器がケーブル越しに交渉して決まります。

USB PDとは何か

USB PD(USB Power Delivery)は、USB Implementers Forum(USB-IF)が策定した、USB Type-Cケーブル1本でデータと電力の両方をやり取りするための規格です。USB-IFは公式サイトで、USB PDの目的について次のように説明しています。

“The USB Power Delivery (USB PD) Specification enables the maximum functionality of USB by providing more flexible power delivery along with data over a single cable.”(USB-IF)

2021年に発表されたUSB PD Revision 3.1では、上限が引き上げられました。USB-IFは次のように説明しています。

“the USB PD Revision 3.1 specification is a major update to enable delivering up to 240W of power over full featured USB Type-C® cable and connector.”(USB-IF)

具体的には、28V・36V・48Vという3つの固定電圧が追加され、それぞれ最大140W・180W・240Wの電力に対応するとされています。

“New 28V, 36V, and 48V fixed voltages enable up to 140W, 180W and 240W power levels, respectively.”(USB-IF)

ここで注意が要るのは、240Wはあくまで規格上の上限だという点です。 充電器のパッケージに書かれたW数は、その充電器が出せる電力の上限であり、接続した機器が常にその数値まで充電されることを意味しません。実際に流れる電力は、機器側が要求する電力と充電器が出せる電力のうち小さい方に決まります。

PPSとAVS、2つの可変電圧モードを分けて理解する

USB PDには、あらかじめ決まった電圧(5V・9V・15V・20Vなど)を切り替える方式に加えて、電圧を細かく調整できるモードが2種類あります。PPS(Programmable Power Supply)とAVS(Adjustable Voltage Supply)は別の規格バージョンで導入された別のモードで、同じものではありません。

PPSは、USB PD Revision 3.0で導入された機能です。USB-IFは、PPS対応の急速充電器を認証する取り組みについて次のように説明しています。

“Certified USB Fast Chargers support the Programmable Power Supply (PPS) feature of the USB Power Delivery 3.0 specification.”(USB-IF Introduces Fast Charging to Expand its Certified USB Charger Initiative | USB-IF)

一方のAVS(adjustable voltage supply mode)について、USB-IFは次のように説明しています。

“An adjustable voltage supply mode allows the device being powered an ability to request intermediate voltages between 15V and up to the maximum available fixed voltage of the charger.”(USB-IF)

USB-IFがPD 3.1を発表した資料では、新機能の1つとして次のように書かれています。

“A new adjustable voltage mode enabling a range from 15V to one of three maximum voltages (28V, 36V, or 48V) depending on the available power”(USB-IF)

PD 3.1のAVSは15Vから上の範囲を扱うもの、という位置づけです。ただし規格はその後も版が進んでおり、製品の仕様表に載る範囲がこの通りとは限りません。実際の製品では、PD・PPS・AVSがそれぞれ別の区分として書かれます。Googleは67W出力の充電器(同ページによれば「USB Type-C® PD 3.2 規格に準拠」)について、1台だけつないだときの値を次のように公開しています。

「USB-C1 / C2 出力: 5.0 V ⎓ / 3.0 A、9.0 V ⎓ / 3.0 A、15.0 V ⎓ / 4.0 A、20.0 V ⎓ / 3.35 A(最大 67.0 W)」(Google)

「AVS: 9.0~15.0 V ⎓ / 4.0 A、15.0~20.0 V⎓ / 3.35 A」(同上)

「PPS: 5.0~11.0 V ⎓ / 3.0 A、5.0~16.0 V ⎓ / 4.0 A、5.0~21.0 V ⎓ / 3.35 A」(同上)

PDの固定電圧(5V・9V・15V・20Vなど)は段階的に切り替わるのに対し、PPSとAVSは範囲で示されます。 Googleの表記でも、PPSは「5.0〜11.0 V」のように下限と上限を持つ範囲として書かれています。PPSは機器側が発熱を抑えながら充電電流を細かく制御するために使われます。

同じページには「デュアルポート」の欄が別に置かれていて、そちらは20.0 Vのときの電流が3.35 Aから3.0 Aへ下がり、最大 60.0 W と記載されています(Google)。

同じ充電器でも、1台なら67.0W、2台つなぐと60.0Wです。 「最大◯W」という表記を見たときは、それが1台だけつないだときの値かどうかを仕様表で見分けてください。

PPS対応をうたう充電器でも、接続する機器がPPSに対応していなければPPSでの充電は起きません。 自分の機器がPPSに対応しているかは、機器メーカーの公式仕様にPPSの記載があるかで判断します。記載が無ければ、対応しているともしていないとも判断できません。

製品情報に「PPS規格対応」と書かれている例です。ここまでの読み方で、この表記が何を意味するかは分かるはずです。

Anker PowerPort III 65W Pod

USB-Cポート1つで最大65W。製品情報にPPS規格対応と明記されている

Anker PowerPort III 65W Pod (PD 充電器 USB-C) 【PPS規格対応/PD対応/PowerIQ 3.0 (Gen2) 搭載/PSE認証済/折りたたみ式プラグ】MacBook Pro MacBook Air iPad Pro iPhone Galaxy Android各種 その他USB-C機器対応

Anker PowerPort III 65W Pod (PD 充電器 USB-C) 【PPS規格対応/PD対応/PowerIQ 3.0 (Gen2) 搭載/PSE認証済/折りたたみ式プラグ】MacBook Pro MacBook Air iPad Pro iPhone Galaxy Android各種 その他USB-C機器対応

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★4.73(51件)

必要なW数は機種で違う——iPhone 12以降は20W以上、iPhone 17は40W以上

充電器の本体やパッケージには、W(ワット)・V(ボルト)・A(アンペア)の組み合わせが複数並んでいることがあります。これは「対応できる電圧と電流の組み合わせ一覧」で、W数はV×Aで決まります。

自分の機器に必要なW数を確認する手がかりとして、Appleは iPhone の高速充電に必要なアダプタの条件を公式サポートページで公開しています。

“高速充電するには、iPhone 15以降とUSB-Cケーブル(付属ケーブルなど)が必要です。それ以前のモデルのiPhoneでは、USB-C – Lightningケーブルと以下のいずれかのアダプタが必要です。”(Apple サポート)

必要なアダプタの例として、Appleは「Apple製の18W以上のUSB-C電源アダプタ」「USB Power Delivery(USB-PD)を使用できる、対応する他社製のUSB-C電源アダプタ」を挙げています(Apple サポート)。この18Wにはアスタリスクが付いていて、同じページの脚注が条件を上書きしています。*

“* iPhone 12以降を高速充電するには、20W以上の電源アダプタが必要です。”(Apple サポート)

つまり18Wという数字は、iPhone 11以前を含む古い記述です。iPhone 12以降を使っているなら、下限は20Wになります。さらに新しい機種では必要なW数が上がっており、次のように案内されています。

“iPhone 17eまたはiPhone Airは、20W以上のアダプターを使用してバッテリーを30分で最大50パーセントまで高速充電できます。iPhone 17、iPhone 17 Pro、iPhone 17 Pro Maxの場合、40W以上のアダプタを使用してバッテリーを約20分で最大50パーセントまで充電できます。”(Apple サポート)

同じiPhoneというブランドでも、機種によって必要なW数が異なります。 自分の機種で高速充電に必要なW数がいくつかは、機種ごとにメーカーの公式ページで確認してください。

手元の充電器のW数が分からないときの確認方法についても、Appleは次のように案内しています。

“お手元のApple電源アダプタがどれかわからない場合は、アダプタの上部または底部に記載のワット数を確認してください。”(Apple サポート)

Appleは自社のアダプタについて、本体の上部か底部にワット数が記載されていると案内しています。手元にあるのがApple製なら、箱が無くてもここを見れば機種側の必要W数と突き合わせられます。他社製のアダプタで同じ位置に書かれているかは、製品ごとに違います。

iPhone 12以降の下限である20Wを満たす製品の例です。25Wなので、iPhone 17系が求める40Wには届きません——自分の機種の条件と見比べてから選んでください。

Anker Charger (25W)

USB-Cポート1つの25W。USB PD対応・PPS規格対応・PSE技術基準適合の表示がある

Anker Charger (25W) USB-C 急速充電器 【USB PD 対応/PSE技術基準適合/PPS規格対応】Galaxy S24 / iPhone 16 / iPad 各種 その他機器対応

Anker Charger (25W) USB-C 急速充電器 【USB PD 対応/PSE技術基準適合/PPS規格対応】Galaxy S24 / iPhone 16 / iPad 各種 その他機器対応

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★4.65(51件)

パッケージの数字だけでは決まらないこと

  • パッケージのW数は充電器が出せる上限であって、接続した機器がその数値どおりに充電される保証ではありません
  • PPSとAVSは別のモードです。「PPS対応」の表記だけでAVS対応まで判断しないでください
  • PPS対応の充電器であっても、機器側がPPSに対応していなければPPSでの充電は起きません。対応状況は機器メーカーの公式ページで確認してください
  • 必要なW数は機種ごとに異なります。同じブランドの製品でも、型番によって条件が変わります

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本文で挙げた表示が載っている商品

順位付けではなく、この記事で説明した表示(対応W数・PPS規格対応・PSE技術基準適合)が製品情報に記載されている例です。価格と在庫は変動するため、各販売ページでご覧ください。

画像 商品 特徴 評価 購入先
Anker PowerPort III 65W Pod Anker PowerPort III 65W Pod USB-Cポート1つで最大65W。製品情報にPPS規格対応と明記されている ★4.73(51件)
Anker Charger (25W) Anker Charger (25W) USB-Cポート1つの25W。USB PD対応・PPS規格対応・PSE技術基準適合の表示がある ★4.65(51件)

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